ブログ、うっかりすると、更新する間が結構開いてしまいますね。
とは言え、開設してから一月ほど経って、自分の中でのブログの立ち位置が「文章の量があっても良いからしっかり報告、あるいは書き記していきたいもの」というものに落ち付きそうですので、更新頻度はこの位になるのかもしれません。
基本的に僕のSNS関係は文章が固いものが多いのですが、きっとブログもそんな感じになると思います。ですので、たまにスイーツを載せて少しでも読みやすくするかもしれませんが(苦笑)基本スタンスはこんな感じで行くつもりです。
さて、今回はベーシストなら誰もが知っているであろうVictor Wooten氏が常に言及している「音楽は言語だ」という事についての僕なりの見解を書いていこうと思います。
氏の言う「音楽は言語と同じ」というコンセプト、前々からとても共感していましたが、このスピーチも素晴らしくて、聞いていて改めて感動しました。英語のスピーチって、リズム、構成、そして時折笑いを誘うエンターテイメント性もあって(これは、ひょっとしたらエンターテインメント大国アメリカならではのメンタリティかもしれませんが)素敵です。それをこうして比較的カジュアルに、且つ飽きさせないように聞かせるVictor氏のスピーチ力も素晴らしいです。
Anyway、音楽一家に産まれて、ベースを始める前に既に両親、兄弟から「音楽」を学んでいた、という環境のVictor氏にとって、音楽は文字通り言葉を話す事と同じように、自然と周りの大人達の話し方を吸収していくような感覚でミュージシャンとして成長していったのでしょう。楽器を弾き始めてからは、言葉を使ってどう表現するかと同じように、演奏する技術、テクニックというよりは、楽器を通して自分が何を言いたいのかという事を自然に行ってきたのでしょう。
「音楽は言葉」という氏の言葉のように、言葉を喋るように家族で演奏を楽しみ、産まれてすぐに(話し振りから推測するに)ファンクやブルースを演奏していたVictor氏にとって、は音楽は間違いなく母国語の英語と並ぶ「第一言語」なのだと思います。
さて、それでは音楽一家に産まれなかった大半の人達、また、J-POPやロック、それに僕のようにヴィジュアル系から楽器を始めてジャズを演奏するようになった人についてはどうでしょうか?
敢えて言うなれば、Victor氏の言う「音楽は言語」というコンセプトは、氏が「第一言語として」音楽を覚えてきたことだと思います。
それに対して、僕のようにキャリアの途中でジャズを始めて、そちらの演奏機会の方が多くなった人(ジャズ・ミュージシャンの大半はこのパターンだと思います)は、音楽(またはジャズ)を「第二言語(あるいは第三言語)としての音楽」と捉える事が出来るのではないか、と僕は考えています。
Victor氏のように、産まれた時から環境に恵まれ、言葉を話すかのように音楽を演奏するような環境で育つのは、本当に稀な事だと思うので、僕を含めたほとんどの人にとっては音楽は第二言語、つまりは中学校から英語を始めるのと同じような感覚なのではないのかな、と思っています。
(※僕の以前のプロフィールに、幼少期にチェロを演奏していた、とありますが、ここではジャズにフォーカスしようと思うので、幼少期の音楽体験を第一言語としての音楽とすれば、僕にとってジャズはヴィジュアル系を通り越して(笑)第三言語になりますね!)
僕が「音楽は言語」というVictor氏のコンセプトに共感する理由はいくつもあるのですが、その中で僕が強く感じたのは、
僕にとって、音楽も言語も、学習プロセス(=音楽であれば練習だったり、言語であれば勉強であるのですが)が共通している
という事です。
僕たちがどのようにして日本語を話せるようになっていったか(第一言語を学んだか)は、Victor氏が上記の動画で話している内容をそのまま日本語に置き換えれば良いので、僕が説明するまでもないですが、ここでは僕なりに「どうやって第二言語(としての音楽)」を学んだかを書いていきたいと思います。
中学に入学した直後、我々日本人の大半にとっての初めての第二言語の授業=初めての英語の授業を思い出してみてください。
「My name is Noriaki Hosoya」
「How are you?」
「I'm fine thank you, and you?」
きっと誰もがこんな会話から授業をスタートし、こんなの今更教えられるまでもなく知ってるわ!と思った事だと思います(笑)。
音楽もそれと同じで、きっと最初に歌い始めたり、楽器を手にした時って、ある程度「こんな感じ」というイメージがあって、音楽を始めるんだと思います。それこそ歌なら「歌いたい」と思った瞬間に歌う事が出来ますから、楽器を始めるのに比べるともっとお手軽ですね。
ただ、そこから英語の授業が進んでいくと、過去形が出てきたり、助動詞、接続詞、関係代名詞etc etc...とどんどん複雑化していき、よく分からなくなっていって苦手意識が出てきてしまった、なんていう方も多いのではないかと思います。挙げ句の果てに「なんで日本に住んでいるのにわざわざ英語を勉強しなきゃいけないんだ」と八つ当たり気味になってしまう、なんていう事があった方もいるかもしれませんね(苦笑)。
それが音楽でも同じ事で、最初は好きな曲を好きなように弾けて楽しかったのが次第に難しい曲にチャレンジして弾けなくてつまらなくなってきた、とか、レッスンに通ったら先生に「こうしなさい、ああしなさい」と強要されて弾きたいように弾けなくてつまらなくなった、なんていう方も多いと思います。
僕が音楽を学ぶのは第二言語を学ぶのと似ているなぁ、と思うのはまさにここの部分です。
何かを新しく自分のものにする、というのは、音楽、言語に限らず何事も大変な事だと思います。
その中で、僕が自分の体験から音楽と言語に共通している部分は、身につけるのに「想像力」を働かせないと上達しない、という事です。
例えば英単語であれば、単語一つを単語帳を作って繰り返し暗記する勉強法は、僕にはあまり効果的ではありませんでした。その瞬間は覚えるのですが、記憶が持続しない。
conclusion(結論)という単語を例にとってみましょう。
conclusionは名詞形、それが動詞になるとconclude。それを会話やスピーチで使うとなると、きっと「To conclude my presentation, ....」と、きっと結びの言葉を導く時に使えるな、なんて「conclude」という一つの単語から色々な事に発展して、関連づけて覚える事が出来ますし、実際の会話をイメージして覚えるようにすると、記憶も強くなりますし、きっと単語帳でひたすら覚えるよりも実践向きだと思います。
更には、そこからもう一歩「concludeを使わないスピーチの結びの方法って何だろう=シンプルにThank youで締める、I'd like to close the speech with...なんていう言い回しもきっと使える」などと、イマジネーションを一層膨らませて、文脈の中で、無理矢理でも良いから使ってみて、覚えていくという学習方法だと、問題集を一から解いていくよりもずっと効率よく、そして楽しく勉強出来るのかな、と。
僕がボストンへ留学した直後は英語もまともに喋れず、本当に「Hello, I'm Nori. I play bass」くらいしか喋れないような状態でしたが(これは今でもドイツの友達にたまにネタにされる、本当の話です)それでも4年半アメリカに滞在して、環境にも恵まれて、ネイティブ並みとは言えませんが、そこそこ喋れるようになりました。
ベルリンに引っ越す際にも、同じような感覚でドイツ語を学び始め(自分で言うととても嫌らしいですけど)人と比べて上達も早かったのは、きっと上記のような学習法が感覚的に身に付いていたからではないのかな、と思います。
ドイツ語は僕にとっては第三言語(第二外国語)にあたる訳ですが、他言語話者がよく言う「一つの言葉を覚えると、次の言葉を学習するのが簡単になる」というのは、第二言語と比較が出来て、共通点、相違点が自分の中で整理されるのでより理解しやすいからかな、と思います。ドイツ語は僕にとってまさにそれ。
ここまでは言語学習での解説でしたが、僕は音楽も一緒だと思っています。
例えば僕が最初にベースでコピーしたのはシャ乱QのNICE BOY(音源を探そうと思いましたがYouTubeにないので断念)でしたが、
なんとなく弾ける
↓
弾けない所を自分流にシンプルにする
↓
他の部分のベースパートのアレンジもしてみる
なんていう流れは、会話の内容を、文法を変えて、言い回しを変えて同じ事を言う、というのと全く同じプロセスだと思っています。
そこから色々な曲をコピーしていくのは、言語で言えばたくさん読書する事=それによって会話の「流れ」を掴む事とも同じだと思っています。
僕の場合は、言語も音楽もそうですが、リズムや流れ(=flow)が掴めないと全く何も出来ません。
英語なら英語の会話の流れやアクセント、話し方のテンポがあって、それがドイツ語だとまた違ったアクセントやテンポ感がありますし、もちろん日本語でもそう。
それと同じで、僕にとってはジャズならジャズのflowや歌い方、ファンクならファンクの、ポップスならポップスのテンポ感やflowがあるので、違ったジャンルを演奏したり新たに学ぼうと思う事は、違う言語を覚えるのと一緒だなぁと。
(※たまにそういうもの全てをぶっ飛ばしていきなり演奏出来てしまう天才肌の人もいなくはないですが、ここでは僕のような凡人に焦点を当てているので、一旦そういう天才については例外、とします)
上述した通り、J-POPからベースを初めて高校時代はヴィジュアル系、そしてプログレにハマっていた僕にとって、言わばジャズは「第三言語」。
ここでも僕がラッキーだったのは、Victor氏が動画の中でも語っていたように「そんなに弾けないうちから大人の会話(=レベルの高いジャム・セッション)に混じれた」という事です。
バークリーなんていうジャズに特化したような学校に来ている生徒は、やはり上手い人が多く、そういう人たちのセッションに参加させてもらったり、校内外で素晴らしいミュージシャンの演奏を聞いたりして、ジャズのflowを身につけていき、新しい単語を勉強するようにジャズ・フレーズを学び、それを「文脈の中で使えるように(曲中だったり、ii-V-フレーズだったらii-V以外に使えないのか、それをスケール内でずらしていったらどうなるのか、12 keyで弾けるか、etc...)」試行錯誤し、耳コピしたフレーズ(言語で言えば、皆が使っているスラングや決まり文句などの言い回し)を様々な場面で使えるように更に発展させていき……というプロセスでジャズを学んだ僕にとって、ジャズはまさに「第二言語」です。今ではすっかり母国語(=ヴィジュアル系)より得意になってしまいましたが。。。苦笑(アメリカやドイツに住んでいた時に、母国語よりも英語やドイツ語を喋る機会が多くてそちらの方が得意になった、という人も見てきているので、それについても違和感ないです)
皆の頭を悩ませているであろう小難しい音楽理論は、言語で言う所の「文法」です。
文法なんて、僕達が日本語を話す時には意識せずに普通に話せていて、会話が成立していますよね?それと同じです。
まぁ、それが第二言語を学ぶ時は文法をうまく「枠組み」として使って、慣れるまでは会話を組み立てやすくなったりもするので、文法=音楽理論が悪、という事ではないですけどね。文法的に会っているという裏付けが取れるから自信を持って話せる、という事は、会話でも音楽でもあると思いますので。
……と、長くなりましたが、そろそろconclusionに導いていきたいと思います(笑)。
ここではVictor氏のコンセプト「音楽は言語」という事に僕も共感している、という事を
Victor氏は「第一言語としての音楽」という視点、
それに対して僕は「第二言語としての音楽」という視点で書きました。
が、きっとこれは言語、音楽に限らず、何でも新しいものを自分のものにする、学習していく時には必要なプロセスなのではないかな、と思います。
もちろん、何事も新しく始める事は決して簡単な事ではありません。ですが、きっとそうして多くの事柄を関連付けて、自分のものにしていきやすい人達が「要領の良い人たち(と書くと、何だかあまり印象が良くないですが)=頭の良いとされる人」なのかな、と思います。
(追記:そして、僕が音楽と言語が好きなように、それについて時間を割いて、自分なりに消化していく努力を惜しまず、それについて苦に思わない人の事を「向いている人」だったり「才能のある人」と言うのかもしれませんね。)
こんな事書いていると、いかにも僕が頭の良い人っぽいですが、そんな事ないですからね!
言語に対しては、僕がもともと言葉に興味があるのもあって人よりも確かに得意かもしれませんが、それを知っているのと実践出来るのは、また別の事ですので。。。
因みに、僕もレッスン生を取っていて、今までも少なくない数の生徒にベースを教えてきましたが、いち「先生」としては、そういう生徒さん達の「得意なこと」を引き出して、それを上手に生徒さんがこれから身につけていきたい事と関連付けて「思ったより出来そう→上達出来て楽しい!」に少しでも近づけてあげられることが良い音楽の先生ではないかな、と思います(これは自分への戒め)。
いや〜、思った以上に長くなりましたね。何だかどこぞの熱血塾講師の自己啓発セミナーみたいですね。(完全にイメージです。苦笑)こんな勉強法のセミナーでもやろうかな。
ホント、こんな文章を書いていると、とても偉そうに見えますが、実際はそんな事ありませんので。。。
学習法や練習法についても人によっての向き、不向きがあると思うので、それも時間があって余力があったら少し解説したいですね。
さすがに今はこれについて詳しく書く気力はないですが、僕の勉強法/記憶法は、実は耳ではなく、視覚イメージが強かったりします。
これについてはまた気が向いたら。さすがに書き疲れた〜。
♪Clare de Lune / Fauré
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